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大阪がアツくなるビジネス情報紙「b platz press」2001.4 03号

これがスピーカー?
小さな柱にしか見えない。大体スピーカーって、でっかいハコで、ウーハーなんかがいっぱいついてて、なんか手のひらくらいの小さなアンプがついてるけど、これで音でるん?
皆の第一印象はこう。そしてこの小さな柱から聞こえる音で、誰もが驚く。「クリア」
部屋のどの位置でも歪みなく聞こえ、部屋全体の空気が変わる。このスピーカーの機能を知りたいがために、いろんな音が聴きたくなる。クラシック、ジャズ、歌謡曲、効果音…。スピーカーってここまで音が出るんだ。このCDやレコードって、ほんとはこんな音をしてたんだ。
このスピーカーを開発したのが、今月の表紙の人、由井啓之氏。株式会社タイムドメインの代表取締役社長。15年ほど前に発表され、国内での賞を総ナメ、ヨーロッパで日本人初のグランプリをとったという「GS1」は、再発売を望まれる声がいまだに根強い。その音を一般家庭にも、というコンセプトで作られたのがこの「Yoshii9」だ。会社設立までは、オンキョーで研究開発に明け暮れていたが、経営陣が替わり開発ストップに。その最終日に当時のアスキー社長である西和彦氏との運命的な出会いがあり、資金援助、会社設立となる。西氏退陣でリストラとなるはずの事業だったが、担当者が音を聞き、開発支援が継続されることとなった。だが、世が不況という中で、スポンサーやスタッフが離れていき、完全に孤立、資金も底をつく。
「やめるのはいつでもやめられるから、できるだけ続けようと思いました。ある日高熱で倒れてしまい、倒れたことで余計なことを考えなくなったのが良かったんでしょうね。ふと閃いたことがあり、高熱のまま東急ハンズに行って、そこにある材料で試作品を作りました。」
それがこの「Yoshii9」の原型である。透明な筒と電線とユニットと綿と茶こし。それが従来の音域を切り分けて加工する大きなスピーカーよりも、クリアな音を出した。
それからの彼の周囲は賑やかだ。かのビルゲイツ氏が聴きに来たり、ビートルズの育ての親といわれるジョージ・マーティン氏のスタジオの要請でロンドンへも行った。空港やお寺、モンゴルでの実演など。行く先々で感動を与え、音が人を動かしていく。森の奥深くにある静かな湖に、小さな小さな石を投げ入れてできる波紋のように、口コミは広がっていき、スピーカーは売れていく。ロンドンに現地法人までできた。エピソードも伝説もいっぱいある彼。音のことになると真剣に、こだわりながら、ひたすら子供のような笑顔で熱っぽく話す。何故、ここまで音にこだわるのか。何故、開発をやめなかったのか。そんなありきたりの質問が空虚に思えてくる。モノづくりって凄い。モノひとつに込められた思いが凄い。自分をぎりぎりのところに置いて、それでも作り続けていく。その凄さと技術が人々を感動させていく。
「いまの会社設立は60歳でした。もうすぐ65歳なんです。介護保険の対象なんですよ。」(笑)

Yoshii9
音楽再生システムを根底からくつがえすまったく新しい概念「タイムドメイン理論」により誕生したスピーカー、その名も「Yoshii9」。
創業から4年、豊かで美しい音を伝えたい、そんな「夢」が実現した。